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  ようこそ我が家へ
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  初めての手紙
里帰り出産をする人の多くがそうであるように、相方も産婦人科を退院したあとは、しばらく陽香と一緒に実家で過ごした。そうすることで育児の先輩である両親に、いろいろと助けてもらうこともできる。私も今まで通り週末を相方の実家で過ごした。

相方が3時間ごとに目を覚ます陽香と本格的に格闘を始めたころ、私は陽香の保険証取得や県民共済への加入、乳幼児医療費補助資格等の申請をした。

陽香宛て手紙
そんな時、会社から帰ってきてポストを開けると、市役所から1通の手紙が届いていた。宛名を見ると驚いたことに陽香宛てではないか。陽香宛てに来た第一号の手紙だ。
誕生おめでとうのメッセージだろうか・・・。市役所もなかなか粋なことをするじゃないか。そんなことを考えながら封を開ける。中から出てきたのはA4の紙が1枚・・・。

住民票コード通知票
 住民基本台帳法により、上記のとおりあなたの住民票コードを住民票に記載しましたので通知いたします。

・・・期待した私がバカだった。
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の番号を知らせる手紙。これが産まれて始めて陽香に来た手紙か・・・。いきなりデジタル情報とは、なんだか妙に淋しいなぁ・・・。

  体重の変化
陽香は相方の母乳をたくさん飲んで、日に日に大きくなっていく。低体重で産まれたこともあり、1ヶ月検診のほかにも体重を測りに週に一度は産婦人科を訪れた。

誕生から16日目に受けた2週間検診で、陽香の体重は2338gだった。誕生直後に一度減っているものの、誕生時と比べて100gしか増えていない。我々もちょっと心配したが、誕生20日目の体重測定では2564gまで増えた。2500gを超えたので、低体重用ミルクを卒業することになる。
25日目の検診で2772gになり、32日目の1ヶ月検診では体重2988g、身長50.5cmにまで成長した。
そしてついに誕生から36日目の7月2日、陽香の体重は3000gを突破して3052gとなる。20日間で714gの増加・・・1日平均35g増えていることになる。順調だ。この日、産婦人科からは里帰りを終了してもよいとの許可が出た。

  表現の変化
大きくなるにつれて泣き声も変わってきている。
産まれてすぐの陽香は「んあ〜」という感じの、頼りなくて小さな声だった。しかしこの声が日に日に大きくなり、「ぶへっ、ぶへっ」「ふんぎゃぁ〜」「ひゅ〜ん」といったように、実にいろいろな声を出すようになった。

相方 「最近はねぇ、涙を浮かべて泣くんだよ。」

そういえば産まれたころの陽香は、泣いても涙が出てなかったな・・・。
おなかが減ったら泣いて、おむつが汚れても泣いて、抱っこして欲しいときにも泣く。私にはすべて同じように聞こえるが、相方はこの泣き声の違いがわかるらしい。さすが母親、なんだか格好いいぞ。
それでも長い時間泣いたりすることはなく、抱っこをするとすぐに泣きやむのもまたかわいい。

それから自分の指を舐めるようにもなった。産まれたときからぶんぶんと腕を振り回してよく動いてはいたが、最近は両手で顔を挟んだり、目をこすったり、指を口に入れたりする。

相方 「この前なんて、自分で手を口に入れたのに、それが出せなくなって泣いてたの。」
私  「あはははは。そりゃいいな。かわいいじゃないか。」

たまに指が目の中に入りそうになって慌てることもあるが、こういう仕草は見ていてたまらなくかわいい。

  お風呂大好き
陽香には毎日楽しみにしているイベントがある。・・・沐浴(風呂)だ。

沐浴
赤ん坊がいる家で、沐浴は1日の大きなイベントとなる。
ベビーバスや風呂桶に、温度計で39度〜40度に調節されたお湯を張り、風呂あがり後のバスタオルや肌着を広げた状態で配置しておく。湯冷ましを哺乳瓶に入れ、体温計や綿棒、ブラシを用意する。
すべてが整ったところで赤ん坊の服を脱がし、おなかの上にガーゼを乗せていざ入浴開始だ。
裸にされた赤ん坊はそれだけで暴れることもあるらしいが、陽香の場合は非常におとなしい。お湯に片足が入る瞬間だけ、ちょっと体をびくっとさせるものの、そのあとは気持ち良さそうな顔でじっとこちらを見つめている。ガーゼを取られても体を洗われてもなすがままで、お湯の中をゆらゆらと泳がせても恐がることはない。本当に風呂に入るのが好きなようだ。

  原始反射
把握反射
産まれてから15分後の陽香は、酸素補給のため保温器に乗せられたので、私としばらく2人だけの時間を過ごした。その時私が陽香の手に指を近づけると、産まれてすぐにもかかわらず、その小さな手で私の指を力強く握ってくれた。あの時の感動は忘れられない。
そのあとも私は、暇さえあれば陽香に自分の指を握ってもらっている。陽香と手をつないで話をするのが楽しくてしかたがない。
しかし先日、私はショッキングな事実を知ってしまった。この私の指を陽香がギュッとつかむ動作。実は陽香が「自分の意志」でやっているのではないらしい。赤ん坊が産まれながらにして持っている「原始反射」と呼ばれる反射作用のひとつなのだ。手のひらに何かがあたると無意識に手を握る「把握反射」と呼ばれるものらしい。
・・・自分の意志じゃないのか。
調べてみると、どうやら赤ん坊にはいろいろな反射が備わっている。

緊張性頸反射
把握反射 : 赤ん坊の足や手のひらに指を置くと握ろうとする
緊張性頸反射 : 仰向けの赤ん坊の頭をゆっくり回すと、顔の向いてる方の手足をまっすぐ伸ばし反対側の手足を曲げて、フェンシングをしているような姿勢になる
吸啜(きゅうてつ)反射 : 赤ん坊の舌の奧に乳首か指を入れると吸い始める
モロー反射 : 赤ん坊を急に動かしたり、近くで大きな音をたてると、ビクッとして両手をいっぱいに伸ばし、やがてゆっくりと抱きしめるような姿勢になる
バビンスキー反射 : 赤ん坊の足の裏を下から上に撫でると指が開く
歩行反射 : 赤ん坊を2足で立たせるように支え、足を床につけて前屈みにさせると歩くような動作をする

確かに陽香もちゃんとこれらの動作を見せてくれる。歩行反射はまだやったことないけどおもしろそうだな・・・今度試してみるか・・・。
産まれてすぐの赤ん坊が母親の乳首や哺乳瓶を吸うことができるのも、生まれつき吸啜反射が備わっているからなのだ。生命というのは本当によくできている

ちなみにこれらの原始反射は生後3ヶ月くらいから徐々になくなっていくらしい。4ヶ月以上経過しても原始反射が残っているようであれば、神経系などに異常がある可能性もある。定期検診でも確認対象となっているくらい、原始反射というのは赤ん坊の健康状態を知る上でとても重要な反応なのだ。

私  「そっか・・・こうやって手をつなげるのもあとわずかなのか・・・。淋しいなぁ・・・。」
相方 「いやいや、それからは自分の意志で握ってくれるんだからうれしさ倍増じゃないの。」

陽香・・・自分の意志でもちゃんと握ってね。でないとお父さんは泣いちゃうぞ〜。

  3人家族
陽香が産まれてから6週間後の7月9日、私の3ヶ月間の一人暮らしにピリオドを打つ時が来た。相方が里帰りを終えて、陽香と一緒に我が家へ帰ってきたのだ。

前日の私は仕事から帰ると同時に部屋の掃除を始めた。掃除機をかけ、キッチンまわりを拭き終えたころには夜が明けていた。
翌朝、相方と両親、そして陽香を乗せた車が来るのを待っていると宅配便が届く。ドアを開けてびっくり、大きな布団セットだった。車に積みきれないので送ったのだろう。とりあえず中身を出してベランダに干す。
それからしばらくして相方の家族が到着。車から陽香を抱いた相方が顔を出す。トランクからは次々と荷物が運び出される。それにしても凄い荷物の量だ。相方の衣類、陽香の衣類、大量の紙おむつ、ベビークーハン・・・まぁ、ゆっくり片づけていけばいいだろう。

ひと息ついて、陽香との別れを惜しみながら相方の両親が帰っていく。相方が里帰りしてから3ヶ月。本当にお世話になりました。いつでも遊びに来てください。

陽香
そして部屋は3人になる。私と相方と、蒲団の上で寝息を立てている陽香。

私  「ついに帰ってきたね。おかえり。」
相方 「ただいま。」
陽香 「・・・ふぇ・・・。」

やっぱり家族ってのはいいもんだ
いよいよ本格的な3人家族の生活が始まる・・・。


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LastUpdate 2004/07/21